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新人若手の住宅営業がお客様を幸せな未来へ導けるようになるための道標

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幸せな未来をつくる住宅営業への8つの道標

 

 

 

 

 

はじめに

「もっとたくさんの家を買ってもらえたら、どんなに毎日が楽しくなるだろう」

と感じている住宅営業の人は多いと思います。

でも、現実には、多くの人が受注で苦労しています。みんな頑張っているのに、注文をもらえる人はごくわずかです。いったい何故なのでしょう?

また、遅くまで働いても減らないデスクワークの山や、同僚が健康を損なっていくのを見て、今の働き方をこの先ずっと続けることへの不安を感じている住宅営業の人はたくさんいます。でも、いざ具体的にどうすればいいかとなると、さっぱり見当もつかないというのが実情なのではないでしょうか。

そういった様々な「住宅営業の謎」に答えるために、私はこの記事を書きました。

 

 

そもそも私は、営業なんて本当にできるの?と言われたぐらい頼りない新人でした。

資料を作るにも作業が遅く、皆が帰った後、夜遅くまで続けないと翌日の準備が間に合いませんでした。商談では、断られるのが恐くて大事なところでは声が小さくなり、営業では致命的な「契約してください」の一言が言えませんでした。

それでも、上司に言われる通りに動くことで、少しずつ一人で活動できるようになりました。お客様には、「一生懸命頑張ります!どうか私に任せてください」と熱心さをアピールして、契約をもらっていました。

しかし営業5年目にもなると、そんなやり方は通用しなくなりました。頑張りますと言えば言うほど、ただの暑苦しいだけの人となって嫌がられました。お客さんと会話が噛み合わないのも一度や二度ではありません。いったい自分のどこが悪いのかさえも分からず悩んでいました。

その頃の若手たちはもっと苦しんでいましたが手を差し伸べてやることさえできませんでした。そして、何人もの後輩が営業を離れていきました。私はやりきれない虚しさに捕らえられつつ「いつかきっと、新しい営業方法を見つけるから」と誓ったのでした。

 

 

それから、投げ込み、飛び込み、チラシの作成、電話営業と過去に習ったことはもちろんのこと、思いつくものはすべてやってみました。

必死なって買ってくれる人を探しました。少しでも家に興味を持っていそうな人を見つけると、なんとかして買ってもらおうと頑張って売り込みました。今買わないと損しますよと全力で説得を試みました。けれども成果にはつながりませんでした。私は深い絶望感に襲われ、暗い気持ちに陥ちていきました。

これだけやっても駄目なんだから、きっと何かが間違っているんだと思うようになりました。私自身や、私が信じてきたことの何かが、いえ全てが間違っていると思うようになったのです。

 

 

そして私は営業スタイルを変える決心をしました。

10年以上かけて習得したことを捨てて学び直すのは勇気のいることでした。それでもその時は、それしか方法が無いと思ったのです。

変わるためのヒントを見つけるために、社外に情報を求めました。本を読みあさり、教材を購入し、いくつものセミナーを受講し、成功する方法を探しました。話し方を変え、一人トーク練習を重ね、実践を試みました。

そんなある日、来店された一人のお客さんと、少しだけ話が弾みました。暗かった心の中に一点の明かりが点じられた気持ちでした。もっとたくさんのお客さんに会えば道が拓けるかもしれないと思いました。

 

 

同時に取り組んでいたのはシリーズレターでした。

ちらほらと返事が返ってくるようになり、心に明るさを感じていました。そんな時、事件は起こりました。

レターを読んだ方から「内容がふざけている。消費者を馬鹿にしているのか」とお怒りの電話が本社に入ったのです。

レターの送付を禁止された私はただ茫然として上司の顔を見ていました。もう、無理だと思いました。新しい営業方法を作ることは私には無理だったのです。何のために血眼になって働いて来たか解らないような、孤独の寂しさが心に広がって来ました。あと少しで成功すると信じていたのに、結局何も変えられなかったのです。

 

 

けれども、奇跡ってあったんです。

送付済みのレターを読んでいただいた別の方から電話が入りました。「話が聞きたい」と言われすぐに会いに行きました。会ってみると、受注に向かって話がトントン拍子で進みました。私は思わず嬉しさで頬がゆるむのをかくしながら、契約書を書いていました。

ただ、今回のことは偶然に違いないと思っていました。こんなうまくいったのはたまたまいいお客さんだったからだと思っていました。けれどもまた電話が入りました。やっぱり手紙を読んでくれていた方でした。その後も同じようなことが続き、ただの偶然じゃないと思えるようになりました。

そこで、この営業スタイルを友人にも試してもらうと、やはり同じようにうまくいったのです。今まで学んできたことが一本の線に繋がったと感じました。

そして、この営業スタイルを、今の若手たちへ伝えられるようにまとめようと思い、ある時は公園で娘や息子と遊びながら、またある時は通勤の電車の中でひとつずつ形にしていったのです。そうやって数年をかけてようやくできたのが、今あなたが手にしているこのコンテンツなのです。

 

 

この記事のアイデアを実際に生かし、私や友人たちは、信じられないくらい、営業を楽しめるようになりました。

この記事が、あなたの住宅営業に対する認識や人生、仕事に対する考え方を変え、より自由で豊かな営業人生を送るきっかけになれば、これ以上の喜びはありません。

 

 

 

 

 

 

 

第一章 なぜ普通の人は幸せな未来をつくる住宅営業になれないのか?

 

期末の時期になると、いつも私は同じ疑問を持ってしまいます。

私の周りにいる営業担当者には、同じ経験年数で、同じ商品を売っている人たちがいますが、彼らや彼女らの実績には6倍もの違いがあるのです。学歴も同じぐらい、人当たりも良く、たいして能力的にも差が見えないにもかかわらずです。でも、よくよく彼らや彼女らを観察してみると、いろんな違いがあるのに気がつきました。

また、私が個別にアドバイスした人の話を聞いてきて、普通の人が何故幸せをつくる住宅営業になれないのか、よく分かるようになったのです。私が最初にお話したいのは、何故普通の人が幸せな未来をつくる営業になれないのかです。

 

 

 

1-A 普通の人が幸せな未来をつくる営業になれない7つの理由

 

次々と注文をもらえる営業になっていく人と、受注とは縁のない人には、明らかな違いがあります。

注文をもらえる営業になる人は、営業成果につながる考え方と習慣を持って日常を過ごしています。
現在、もしあなたが「幸せな未来をつくる住宅営業」でなかったら、次にあげる7つの理由が考えられます。

 

 

 

1-A-1   今まで営業スタイルについて真剣に考えたことがない

 

あなたは、営業スタイルのことを今まで真剣に考えたことがありますか?

私が見ていると、普通の人が幸せな未来をつくる営業にならない最大の理由は、
「営業スタイルを大切なものとして、真剣にとらえていない」ことです。

普通の人は、今の暮らしを維持できるぐらいの契約がとれればいいと思っています。何か困ったことでもなければ、真剣に営業スタイルについて考えようとしないものです。その理由を、ある男性営業が言っていました。私がどうして営業スタイルのことを真剣に考えないのか聞いたら、彼は、 「だって、大変そうじゃないですか、営業スタイルを変えるのって。今まで身につけたことが無駄になるし・・・。」と言ったのです。同じ思いの人もいることでしょう。

「営業スタイルのことを真剣に考える」とは、自分と真剣に向き合うと言うことです。なぜ、自分は今次々と注文をもらえる営業でないのか、また、営業実績のせいで、どれだけ毎日をつまらなく過ごしているのかについて、突き詰めて考えるということです。ほとんどの人がこの作業をしません。目の前にある仕事をこなすことばかり考え、もっと楽に契約が取れたらなあとぼんやり夢を見て日々をすごしています。仕事、時間などの人生の大切なことを見直そうなんてことは考えないのです。このことが、普通の人が「受注に縁のない」営業人生を送る大きな理由です。

 

 

 

1-A-2   自分の好きなことをやって営業していない

 

このことは、豊かさへの大きな障害だと思っています。もし、あなたが自分の大好きなことを営業スタイルに取り入れていなければ、仕事時間の大部分を無駄にしていることになります。まず、一日のかなりの時間が楽しくないという点で、損をしています。

また、嫌いなことを我慢している間は、情熱を持って打ち込めないので、効率という面で も向上しにくいのが普通です。絵を描くことが好きなのに数字を並べてお客様を説得したり、熱く語ることは嫌いなのに情熱家タイプを演じていると、お客さんは次第に離れて行ってしまいます。

成果を上げている営業たちは、例外なく自分の好きなことを営業スタイルに活かしています。彼らにとって、自分の嫌なことを我慢して営業を続けるなんて考えられないことなのです。普通の人が、幸せをつくる営業になれない理由の2番目がこれです。

 

 

 

1-A-3   自分が幸せな未来をつくる営業になれると思っていない

 

「幸せな未来をつくる住宅営業」への道で、最大の障害は、「自分にはできない」と思うことです。どんなに厳しい状況のなかにいても、あきらめなければきっと道は開けるものです。あきらめるのは、普通の人か、現状に満足出来る恵まれた人が多いようです。

以前、周りを見渡した時に、自分は幸せな未来をつくる営業になれると信じている人がいました。また、自分はこれからも幸せとは縁のない営業のままだと信じている人もいました。どちらかが正しくてどちらかが間違っていると言いたいのではありません。どちらの人も信じた通りになりました。

「自分だって、幸せな未来をつくる営業になれるかもしれない」と自らの可能性を少しでも探ることをはじめてみてください。

 

 

 

1-A-4   幸せな未来をつくる住宅営業になるために必要な知識や習慣がない

 

次々と注文をもらえる営業になるためには、最低限知っておかなければならない知識がたくさんあります。それは、商品の知識だったり、集客や売るための実務的知識だったりします。そのすべてを体系的に教えてくれるところはほとんどないといっていいでしょう。ですが、体系的にまとまっていないからといって、それを知らずに営業で成功することは大変難しいと思います。

多くの成功した営業はいろいろな人に教えを乞い、その知識を自分のものにしてきています。伝統的に優秀な営業チームなどでは、代々後輩にそのような知識が伝承されています。

しかし、普通の人は、幸せな未来をつくる営業になるのに体系的な知識が必要なことも知りません。そのようなものがあると聞いても、うさんくさいと思うだけです。

「体系的な営業の教育を受けていないこと」が、普通の人が幸せな未来をつくる営業にならない4番目の理由です。

 

 

 

1-A-5   勇気や行動力、決断力がない

 

幸せな未来をつくる営業になるには、勇気がいります。それは、自分を変えなければならないからです。

多くの人は、勇気と行動力がないために普通の営業人生を送っています。どんな人にも同じようにチャンスは流れてきています。その情報を信じて飛び込んでみるか、疑ってやりすごすかが、普通の人と「幸せな未来をつくる住宅営業」の違いを作ります。

決断力も、幸せな未来をつくる営業への大きな鍵です。決断とは、今までの営業スタイルを断つことを意味します。

アポイントが取れなかったお客さんを放ったらかしにして一年後に立ち寄ってみると新しい家が建っていたということはよくあることです。

若いうちは「頑張りますので、買ってください。お願いします!」と宣言するだけで買ってくれることがあります。しかしベテランになった時に、そんなことを言っていると信用を失うことはあっても、注文を得ることはありません。

今までのやり方をやめて、誰もやった事のない新しいことにチャレンジすることで世界が変わるのです。新しいことに何も踏み出さない人は、営業人生を終えるときに「ああ、失敗の少ない営業人生でよかった」と思うのでしょうか。

 

 

 

1-A-6   大切なことを先延ばしにしている

 

あなたは、自分でやると決めたことは、つぎつぎとこなしていけるタイプですか?あなたが、私と同じように普通の人なら、なかなか思ったとおりには出来ないことでしょう。

研修で習ったことはすぐにやろうと思っても、仕事に戻ったらすっかり忘れてしまう。新しいパンフレットが届いたら早く目を通した方がいいとわかっていても、つい目の前の仕事を優先してしまう。成功体験発表を聞いて今すぐ真似をしたら上手くいきそうだと思っていても、来月からでいいやと考える。

そんなことが積もり積もってあなたを売れない営業にしているのです。

たとえば、見込み客へ定期的に近況報告をするのは、安定して成果を上げる営業への基本ですが、今月はキャンペーンで忙しいからとか、書くネタが無かったから、外出続きで作業時間が少なかったからとか、もっともらしい言い訳で、大切なことを先延ばしにするのです。そういうタイプは、新しい人との出会いがあっても、今回はまだいいやとか、同僚がお礼状を書いているのを見ても、すぐに効果が出るわけじゃないしとか言って、手紙を書く癖をつけないまま営業人生が過ぎていくのです。

 

 

 

1-A-7   幸せな未来をつくる住宅営業に導いてくれる先生や友人がいない

 

普通の人は、小さい頃から大人になるまで、営業の教育を受けるチャンスがありません。売り方のことは、学校でもほとんど習わないし、家庭でも話題にすることは少ないでしょう。

あなたは営業について、誰から学びましたか?その人は自分の幸せな未来をつくる営業でしたか?もし、答えがノーなら、あなたの営業人生は明るいものとは言えません。

営業で成功した人は、優秀な営業になれたのは、いい先輩(先生)を見つけられたからだと言っています。私も、自分の体験や周りの活躍している営業の様子を見て、その意見に大賛成です。

普通の人が営業に関して混乱している理由は、子供時代から現在まで、営業のいい先生に巡り合っていないからだと思います。

また、同僚もそうです。あなたの同僚や周りの営業の人は、あなたの営業に大きな影響を与えています。あなたの同僚が豊かな優秀営業でなければ、あなたが優秀営業になることを邪魔することはあっても、助けになることはないでしょう。

 

 

 

1-B   普通の営業を続けることで受ける6つのストレス

 

ある相談者が、「今の売り方を変えなくてもちゃんと買ってもらえる」と言ったことがありました。

次々に注文をもらえる人は、営業のことをマスターすることで、どれだけ営業人生の質が良くなるかをよく知っています。ですが、普通の人は、営業スタイルのことをよく考えないために、営業活動の中で大きなストレスを抱えていることさえ知りません。

次に、普通の営業の日常を知らないうちに蝕んでいる6つのストレスを見ていきましょう。

 

 

 

1-B-1   会社のためにしなければいけない無理な営業スタイル

 

営業のことをマスターしていないと、会社のためだけに仕事をせざるを得ない営業人生になります。具体的には、今は買わないと言っている人に、今なら安くなりますと言って無理に売り込んだり、好きでもない商品を売ることです。

営業のやり方には、2つのスタイルしかありません。相手の気持ちを変えようと説得する営業か、相手の気持ちに寄り添う営業かのどちらかです。別の視点で言うと、他人に 決められた方法で営業するか、自分が決めた方法で営業するか、のどちらかです。

自分で営業スタイルを決める知恵と才覚がなければ、他人が決めた方法で働くしかなくなります。そして、そのような営業はだいたいストレスだらけの仕事であることが多いものです。

 

 

 

1-B-2   自由のない営業人生

 

他人が決めた営業スタイルで働く悲惨さのひとつは、自由を奪われることです。

平均的な日本の営業は、若い頃、就職することによって、「自分の営業スタイルを好きに選ぶ自由権」ともいう権利を放棄させられています。配属された場所の上司や先輩の言う通りにすることを約束させられているのです。

好きなお客様を探したり、自分の好きなように時間を使うことができなくなります。幸せな未来をつくる営業では当たり前の、お客様に合わせて話の聞き方を変えたり、提案の順番を調整することもなかなかできませんし、お客様に合わせて連絡を取るタイミングと手法の組み合わせを変えるという営業力を向上させるための大切な部分の権利まで奪われてしまうのです。周りが全員がそうだから意識しないかもしれませんが、よく考えてみると ひどい話です。

自分自身には合わない営業スタイルに従っていると、時間の自由も失いますが、「自分の大好きなことをやって働こう」という精神的自由も失ってしまいます。

 

 

 

1-B-3   営業の駆け引きで起こるお客様との緊張感

 

いつの調査でも、クレームのお客様に不満足になった理由を聞くと、担当者の対応が気に入らなかったが入っています。「品質の問題」などの他の理由を大幅に引き離しています。

お客様が満足するすべての局面で担当者の対応は関わってきます。どこの世界でもお客様が抱く担当者への期待に比べて、対応レベルは圧倒的に低いのが現実です。お客様が不満と感じる理由はひとりひとり全く違います。経験の違いや年齢の違い、育った環境や売り手と買い手の立場の違いなどがあるのですから、上手にやろうとする方が無理なのかもしれません。

私は、クレームになったお客様の話をたくさん聞いてきましたが、お客様の言葉と本音に関してはおもしろいことが分かっています。それは、お客様が言葉に出して言っていることと、本当に思っていることにはいつも違いがあるのです。

お客様の不満には、急かされて契約を迫られたことが嫌だったとか、言った言わないという話で意見が食い違い不満になったといった話が良くあります。営業がきちんと話を聞いていれば大きな問題にならなかったようなことでも、どこかでお客様の言葉を曲がって受け止めていることがあるのです。

お客様の不満点を一言でいうと、「私のことを大切にしてくれていない」ということなのですが、検討期間が短かったとか、判断材料を出してくれないといった話になることが多いのです。問題の本質は、コミュニケーションなのですが、それが営業の問題として浮上してくるのです。

商品のこと、お金のこと、スケジュールのこと、オーダープランのことなど、商談の中では決めることがたくさんあります。お客様と営業とで、すべてのことに関してよくコミュニケーションをとらないと、両者の間に緊張が積み上がっていくことになります。そして、お客様は自分の話を聞いてくれないと言って営業の悪さをなじることになります。

優秀な営業になったからといって、この問題が解決するとは思えませんが、営業にまつわるストレスが多大なことは間違いないでしょう。

 

 

 

1-B-4   よそよそしいチーム、ぎくしゃくした社内人間関係

 

営業をマスターしていないとチームや人間関係、友情までもだめにしてしまいます。私が相談にのってきたなかでも そんなケースがたくさんありました。

例えば、お客様への見積もりは、とにかく安くすることが大切だという営業がいました。この営業が、設計担当者からもらった工事費用を見て、もっと安くしてもらおうと交渉したのです。この交渉を設計担当者は笑って取り合いませんでした。

「なにを寝ぼけたことを言ってるんだ。安くしてくれって、いっつも同じことばかり言いやがって。俺たちは骨身を削ってできる限りのことをしているんだ。ワガママ言うんじゃないよ!それを二言目には安くしろって、なんなんだ!そもそも、物の価値を正しく伝えて、買ってもらえるように工夫をするのが営業の仕事だろ!もっと安くなれば売れるって、安くして売れるんだったら営業なんて要らないよ。第一、お前のアポイントなんていつもスカを食らって契約にならないじゃないか!」と最後には、罵るような声のトーンで営業に言ったのです。営業のことをマスターしていないとチームメイトともいいコミュニケーションが取れません。

人間関係や友人とのつきあいも、あなたの営業の健康度でその質が変わってきます。営業をうまくやっていると、仕事に関することで友情にひびが入ることはありません。

誰かから急な依頼を受けて、不快な思いをした経験は誰にでもあることでしょう。お客様と無理な約束をして、他人に仕事の負荷をかけたり、決まった日数を確保しないでお客様と約束をしてしまい、他部署の人を無理に急がせたこともあるかもしれません。仕事を受けた方は、決して言い出しませんが、あなたのために残業や休日出勤までして仕上げた仕事のことを忘れていないことでしょう。

 

 

 

1-B-5   夢とワクワクのない退屈な営業

 

生活のためだけに営業をしていると、だんだん自分らしさを失ってしまいます。毎日の営業活動に熱い情熱がなくなり、時間だけが過ぎていく人生になってしまうのです。

夢のない営業はつまらないものです。「どうせ」とか、「しかたない」とかいう言葉がでてきたら要注意です。自分が思いついたアイデアを元に、誰も通ったことのない道を作りながら成功を目指すことは、営業の喜びのひとつですが、「上司に従うことで生活ができているんだ」と自分自身を説得して、多くの人はそれに背を向けています。次第に営業活動から情熱がなくなり、「自分は日々成長している!」という嬉しい実感が持てなくなります。これも、生活のために「他人が決めた営業スタイル」を優先して起こったストレスのひとつでしょう。

 

 

 

1-B-6   日常的な営業成績の心配と将来の不安

 

営業のことをマスターしていないと、絶えず営業成績の心配に悩まされることになります。

普通の営業担当者は、起きてから夜寝るまで仕事のことをたくさん考えます。そのほとんどが心配事です。

月の初めになったら、今月も計画通り受注できるだろうかと心配します。日常的にできるだけたくさんのお客さんに会って、今月契約してもらえそうな人はいないかと探します。

月中には以前出会ったお客様と長く会っていないことを思い出し、すでに他社で契約されてしまったのではないかと心配します。

月末になると、今月中に契約をもらえるかどうかに気をもみながら、来月の契約は大丈夫だろうかと心配します。

商談できるお客様が現れたら、この人を逃したら上司へ報告できる人がいなくなることを心配します。商談客がなくなることが一番の心配なので、お客様が結論を出さないようにして、できるだけ商談が長引くように気を使います。

また、最近の不況のニュースを見るたびに、その影響で自分のところに来てくれるお客さんが減るのではないかと心配になります。上司から不機嫌そうな声で電話がかかるたびに、ドキドキしたりすることもあるかもしれません。

暮らしをあらゆる面で営業成績に制限されているのです。食べるもの、 交通手段、着る服、持ち物、歩き方、姿勢、言葉使い、会議で座る場所、声の大きさ、発言内容などすべてのランクを無意識のうちに、自分の成績状態にあわせて決めてしまっています。

将来の不安も多くの営業が抱えるストレスです。

今のベテラン世代は若い頃からたくさん契約をもらってきた人が多いし、紹介やリピートもあるので、そんなに心配いらないでしょう。問題は、不況の被害を直接被った、今の20代、30代の人たちです。この世代がベテランになる頃までに、年々低下している経済状況が回復して見込み客が急激に増えることもあまり期待できないでしょう。

今のやり方で営業を続けていても、体力的にもいつまで耐えられるか不安だと感じながらも多くの人はそのままのやり方を続けています。20代の若者の特権である元気さが売りの営業スタイルを、50歳のベテランがやろうとすると、見た目と中身が合わなくて変だと誰もが感じることでしょう。

 

以上、営業のストレスをざっと見てきましたが、どうでしたか?

自分が思った以上に「営業のストレス」にやられていることに気がつきましたか?

 

ここまで読んできて、どんよりした気分になっていたら、 うまくいっている証拠です。自分がどれだけ営業のストレスにやられているか気づかなければ、そこから抜け出すこともできないからです。

これらは、すべて営業がらみのストレスです。今話したようなストレスは、「幸せな未来をつくる住宅営業」の日常には一切ありません。

 

 

 

では、「幸せな未来をつくる住宅営業」の日常とはどんなものなのでしょうか?

優秀な住宅営業の基準は、年間の販売額だったり、半年間の販売棟数としていたり、それぞれの会社によって求められている姿は様々です。販売している住宅の単価や規模、そして市場の違いもあり、一律で優秀営業のラインを決めることは非常に難しいものです。

 

私が考える「幸せな未来をつくる住宅営業」の定義はこうです。

□制限時間の中で活動し、3ヶ月先の契約が読めていること。

□関わる全ての人が幸せになるように計画している。

□お客さんが今よりも幸せになり、30年後の未来も幸せで居られる提案をして、あなたから買いたいと言われて受注すること。

私の周りを見ていると、3ヶ月先の契約が読めるようになると、営業のとりあえずの心配がなくなるようです。

そして、たとえ自分が得すると分かっていても、お客さんが今より幸せにならないのなら売らない。

お客さんだけが得をしたり会社だけが得をするような売り方もしないといった明確な意思を持つ。

これがあると、営業のことを日常的に考えなくても、お客さんの方から売ってくれと言われるようになるようです。

 

 

では、実際の「幸せな未来をつくる住宅営業」の特徴を見てみましょう。

 

 

 

 

 

 

第二章 幸せな未来をつくる住宅営業という生き方

2-A  「幸せな未来をつくる住宅営業」とはどんな人たちなのか?

「幸せな未来をつくる住宅営業」とは、どんな人たちなのでしょう?私が出会ってきた幸せをつくる住宅営業たちには共通点がありました。彼ら彼女らは、いつも自分らしさを表現しながら営業しています。自分が受け持っている市場からの発掘と、紹介その他の発掘で十分な見込み客を見つけています、好きな時に自分のやりたいことをして楽しく営業しているのです。人と話すことが好きな人は、たくさんの人と話しています。文章を書くことが大好きな人は、手紙やメールを送っています。自分の営業はうまく流れに乗せ、自分がいなくても見込み客が集まる仕組みを作っているのです。
そういう彼らも、最初から恵まれていたわけではありません。ほとんどが、普通に就職し普通に営業をしていた人たちです。普通の人たちと違うのは、自分を見つめ、自分に正直に営業してきた点でしょう。彼らは、悩み、もがきながらも、自分の才能を探し当て、それを育ててきました。

そんな彼らの特徴を8つにまとめて見てみましょう。

2-B   「幸せな未来をつくる住宅営業」の日常: 8つの特徴

2-B-1   好きなことで営業している

今まで会ってきた「幸せな未来をつくる住宅営業」たちの特徴は、とても楽しそうだということです。会ってみるとすぐわかります。なにをしていてもにこにこしています。会って話しをするだけで、こっちも楽しくなってきたりします。彼らの営業の美学は徹底しています。「自分の好きな人に、自分の好きなやり方で、自分の好きな物を売る」ただそれだけです。自身の営業経験から、自分の嫌いなことをやるときほど業績は悪くなりお客様の満足度も下がることをよく知っているのです。自分の好きなことだけをやるなんて、そんな営業はありえないと多くの人は考えるでしょう。でも、それは思い込みです。幸せな未来をつくる住宅営業は、自分の嫌いなことをして営業をするのはよくないと思っています。それは、その人自身が不幸になるし、何よりもお客様や周りの人たちも不幸にする可能性があるからです。

 

2-B-2   聞き上手で普段から全員に目を配る気遣いをしている

優秀な営業なら、流れるような説明ができて、説得と誘導が上手く、目立った存在であると普通の人は思うかもしれません。でも、私が会ってきた「幸せな未来をつくる住宅営業」たちは、説得というものから縁遠い売り方をしています。それどころか、普通の営業より、はるかに話す時間が短いのです。普通の営業なら気にしない言葉に、彼らは敏感です。大阪で優秀営業の講演会に出席した時、私の商談案件についてアドバイスをお願いすると、「家族全員の話は聞いたか?」「お婆ちゃんの気持ちは聞いたか?」「小学校入学前の娘さんの意見も聞いたか?」とうるさく言うのです。当時は、「クソ!決定権のない人の話なんてどうでもいいじゃないか!」と思いましたが、彼らの意図はそうではなかったのが今はよく分かります。関係者全員を巻き込み、お客様の話を最後まで聞いて、小さな声も大切に受け取るという考えが彼らの営業の基本にあります。幸せな家族をつくるというはっきりした態度が、彼らを優秀な営業にしたのでしょう。

 

2-B-3   明確な営業の哲学、営業人生の目標を持っている

「幸せな未来をつくる住宅営業」とじっくり話してみると、彼らが、明確な営業の哲学を持っていることがわかります。崇拝する先輩を持っている人もいます。信じている教えが何であれ、似たような考えをしているように私には思えます。彼らは営業をしていく上で、自分に与えられら才能を最大限に生かし、家族や仲間、お客様と仲良く暮らすことを何よりも大切に考えているのです。営業は何のために働くのか?仕事、営業について突き詰めていくと、そこに行きつくようです。そして、その問いをずっと追いかけ続け、彼らなりの答えを出していくのです。
幸せな未来をつくる住宅営業たちは、「営業人生とは自分の才能に気づいてそれを活かし、お客様と自分自身を含めたすべての人を幸せにすることだ」と思っています。自分の大好きなことを中心にして、それで自由になり、またその喜びや幸せな気分を、お客様、仲間、家族と分かち合うことだと感じています。
幸せな未来をつくる住宅営業は、営業の方向性や目標を明確にし、事あるごとに再確認します。パートナーや仲間と、どのような営業をしたいのか、いつもチェックするのです。何故、今の営業スタイルをやっているのかも常に自分に問いかけています。

 

2-B-4   営業や営業モデルが大好き

私が、出会ってきた「幸せな未来をつくる住宅営業」たちの多くは、営業や営業モデルが大好きでした。日常でも、何気ないときにヒントを見つけます。このモデルはうまく使えそうだ、とかいうネタを10も20も持っています。こうやったらお客さんが喜ぶだろうなとか、ああいうことをすれば良くなるのに、ということを常に考えているのです。ただ、営業のことをよく考えていると言っても、売上の鬼になっているわけではありません。彼らはゲームとして営業や営業モデルを心から楽しんでいます。お客さんが自然に買いたい気持ちになってくれる仕組みを考えたり、お客さんが笑顔になって「分かりやすかった」と言ってくれる説明のやり方を考えては、一人で微笑んでいるのです。

 

2-B-5   感情的に安定している

「感情的に安定している」ことは、営業の成功を考える上でも大切な要素です。「幸せな未来をつくる住宅営業」 の多くは、自分らしい営業スタイルを見つけ、それに取り組み、成功させていく過程で、大変な目にたくさん遭っています。だから、少々のことでは平常心を乱さないような自分自身を持っています。営業の人生を生きる上で、感情的になることが、営業の成功やチームワークをぶち壊す例をたくさん見てきています。だから、いつも感情のリフレッシュをするように心がけています。普通の営業は、お客様にNOと言われることを嫌います。幸せな未来をつくる営業たちは、お客様のNOを歓迎します。YESかNOかわからない状態を続けて、時間を無駄にするようなことはしません。だから、見栄をはろうとか、格好つけようとか、上司に良く見られようという理由で嫌な話に蓋をすることはないのです。また、自分の分をよくわきまえているので、今月すぐに決めてもらえそうという理由で、相見積もりにのったりすることもありません。自分の野心もうまくコントロールしているので、受注を急に狙うなどの大きな賭けにでることもありません。それは彼らが、営業の失敗の多くは、感情的な未熟さから来ていることを体験的によく知っているからです。
私が感心するのは、「幸せな未来をつくる住宅営業」たちは、「足ることを知っている」ことです。彼らは、自分の金銭欲や出世欲、名誉欲、自己顕示欲をうまくコントロールしています。

 

2-B-6   決断力、行動力がある

営業で成功して行く人たちの特徴に、決断力と行動力をあげなければならないでしょう。彼らの多くは、決断がものすごく早いのです。ある時、優秀な営業の商談に同席したときがあったのですが、彼は、お客様の要望に変更があったことに対して即座に代替案を提示しました。どうしてそんなに早く答えを出せるのかと聞くと、商談に入る前から考えていたと言うのです。
行動力とは、やろうと思ったことをすぐやることです。子供のころには誰でもできていた能力です。多くの有能な人が自分らしい営業スタイルに取り組まないのは行動力がないからです。私のところには、営業スタイルを変える意識を持った若い人がたくさんやってきます。その多くは、頭の回転が速く、仕組みの構築力もあり、営業スタイルを変える先導者がもつべき要素をすべて持っているような人たちです。しかし実際には、彼らの多くは、その夢を暖めたまま普通の営業を続けています。それは、この行動力がないからです。どれだけ素晴らしいアイデアを持っていても、 行動しなければ何も始まりません。多くの次期先導者たちは、小さい頃から敷かれたレールの上を走ることに慣れすぎています。営業で、正解のレールはないのです。自分が進みたい道と、そうでない道の二つしかありません。レールからの脱線を怖れていては、何も始まらないのです。

 

2-B-7  関わるすべての人が幸せになる営業スタイルを持っている

「幸せな未来をつくる住宅営業」は、自分の大好きなことを営業スタイルの中心にしています。それは絵を使った説明かもしれないし、手紙を書くことかもしれません。何であれ、彼らはそれをすることが楽しくて仕方ないのです。彼らは営業活動の目的がはっきりしています。その表現として、今の営業スタイルを選んでいるのです。
私の周りには優秀な住宅営業がいます。彼らは、販売した家に住む家族が未来も幸せに暮らしてもらうことに情熱を注いでいます。新しい家にかけるお客様の想いをすべて聞いて、お客様が本当にやりたかったことを見つけ出したり、お客様の想像を超える提案を絵に描いて見せたり、考えられることをすべてやっています。おかげで彼らのお客さんは大変満足して暮らしています。カラーコーディネートが好き な人は、室内の壁紙の色や柄を選んでもらうことから始めたりします。植物が好きな人は、家の中から見える景色を想像できるように、窓の向こうに見える木の写真を準備して見せることから始めています。車が好きな人は、ガレージの設計から始めたりしています。安全な家を建てることに情熱を注いでいる人は、建物の構造の違いで安全性能が変わることを解りやすく説明することから始めています。彼らの営業は、彼らにとっては単なる仕事ではないのです。キザな表現で言うと、彼にとって営業は、愛の表現なのです。縁あって出会った人に喜んでもらいたい、楽しんでもらいたい、幸せになってもらいたいという愛情表現が営業スタイルになっているだけなのです。そんな彼らのことが大好きなまわりのスタッフも心からもてなしをしてくれます。ひとりひとりのお客様にどうすれば喜んでもらえるかを楽しみながら考えているのです。こんなスタッフにめぐまれた営業にお客さんが集まらないわけがありません。お客さんが集まる営業が、売れない営業でいることは難しいことでしょう。

 

2-B-8   愛で結ばれたチームスタッフ、楽しい仲間を持っている

「幸せな未来をつくる住宅営業」のオフィスにおじゃますると、そこは笑い声で一杯です。チームで楽しい時間を過ごしていますし、ゲストもチームの一員として暖かく迎えてくれます。
また、スタッフと仲がとてもいいのも彼らの特徴です。今の豊かさや自由は、営業がとかスタッフがとか、どちらか一方が作ったと思っていません。実際にお客様を集めるのがスタッフで、お客様の話を聞いて提案するのが営業であっても、両方でそれを成し遂げたと思っているのです。例えばクレーム産業と言われることもある住宅業界でも、私が出会った優秀な営業は、もう何年もお客様との良い関係が続いている人でした。何がそうさせているのかを聞いてみると、どの部署とも仲が良いと教えてくれました。お金があったら広告を出して一人でも多くお客さんを集めたいと思っている営業と、お金があったらできるだけ使わないようにして利益を残したいと思っている管理では、お金に関して正反対の価値観を持っていますが、そんな管理でも、彼らのような営業の頼みなら、精一杯アイデアを出して協力しようとしてくれるのです。良いときも辛いときも、お 互いの協力で乗り越えてきたというチームワークが彼らの売り上げの高さに繋がっているのでしょう。実際にお客様満足度の調査でも、利益率が高く受注数も多い優秀な営業チームのクレーム率はきわめて低いようです。

以上が、「幸せな未来をつくる住宅営業」に共通する8つの特徴です。

どうですか?楽しくて自由な世界の雰囲気を感じていただけたでしょうか?でも、普通の営業をしている自分には、手の届かない関係のない世界だなと思う人もいるかもしれません。ですが、あなたが思うほど、「幸せな未来をつくる住宅営業」への道程は遠くありません。では、次にどうやったら、「幸せな未来をつくる住宅営業」になれるのかについてお話しましょう。

幸せな未来をつくる住宅営業になるためには、いくつかのステップが必要です。それを8つのステップに分けて順番に説明していきましょう。

 

 

第三章 幸せな未来をつくる住宅営業への8つの道標

3-1   自分の大好きなことを営業スタイルの中心に置く

「自分の大好きなことを営業スタイルの中心に置く」こと、それが幸せな未来をつくる住宅営業への第一歩です。成功した営業たちは、例外なく自分の大好きなことをやって営業しています。好きなことは自分の能力ともつながっていて、それに磨きをかければかけるほど商談が良くなり受注も増えるようです。好きなことをするいい点は、たくさんあります。その一つが、好きなことをやると人は笑顔になることです。普段は無気力な人も、自分の大好きなことなら熱心に語れます。そして、それをやるだけで、楽しくてしょうがないものです。それだけで明るく元気になるのですから、お客様の目にも好印象に映るでしょう。これで営業活動の半分は達成できているようなものです。また、創意工夫もできるし、いろんなアイデアもいっぱい湧きます。そういったことを考えると、好きなことをやると、嫌いなことをやっている営業より、成功する確率がはるかに高いことがわかります。

 

3-2   敷地に関わる問題点を見抜き、建物に関する時代の流れを知る

21世紀の現代で、住宅営業で成功しようと思った若者は、「床下に湿気が溜まらないように高床式の家を提案しよう」とは考えないでしょう。また、「家を長持ちさせるために、風呂、便所、台所などの水回りを別棟にしましょう」とも言わないはずです。それは、時代が19世紀や20世紀とは違うからです。現代では、住宅に求められている環境配慮や健康配慮がどうなっているのか知らずに、売れる営業になることはできません。敷地に関わる制限を知ることも同じように大切です。敷地を見て想像力を働かせて敷地の問題点を見つけます。何をどのように調べると、土地の制限を把握できるのか、逆に把握できないのかを理解することが大切です。優秀営業の後輩たちは、制限の対処法について若い頃から先輩に学んでいます。建築に関わる制限をどう理解するかで、あなたが豊かな営業になるか、忙しいだけで成果につながらない営業になるのかの違いがでてきます。

 

3-3  大好きなことのまわりに、情報が集まる仕組みを作る

「楽しく仕事をしていれば売り上げはついてくる」と聞くことがありますが、それだけではまだ活動は半分です。楽しいことのまわりに、いかに情報が集まる仕組みを作る のかがもう半分の活動です。人と話すのが大好きな人も、ただ毎日人と話しているだけで、優秀営業になったりはしません。優秀な営業になるためには、買いたいと思っている人の情報を受け取るシステムを作らなければならないのです。例えば、それはマーケティングの知識だったり、人を喜ばせる仕掛け作りだったり、資料や伝え方の工夫だったりします。今なら、インターネットと宅配便を使えば、いつでもどこの人とでも情報を受け取ったり伝えたりすることができます。

 

3-4   住宅営業のAPを高める

営業には法則があります。私は小さい頃から、お金について父に教わり、学生時代に父の友人を通して商人の心得を学びました。社会に出てからは営業のことを、多くの先輩や先生について学んできました。東京の作家営業、長野のねぎらい営業、高知や群馬の手紙で売れる営業、埼玉の挨拶で売る営業の方々からいろんなことを教わりました。彼らは、誰もが似たようなことを言っていました。面白いことに、それらの知恵は地域的には全く違うところから来ているのに、同じような体系なのです。どうやったら売れる営業になれるのかについては、本もたくさん出版されて います。ですが、営業活動の一部分ずつを強調しているので、全体を理解するのには苦労します。実践しようとすると数冊の本を組み合わせて読む必要があり、一冊だけを読んだ人は混乱するだろうなと思いました。最近は、営業の一連のストーリーを見通せるわかりやすい本も出てきました。けれども、「幸せな未来をつくる住宅営業」という視点から見ると、まだ半分しか書かれていないように私には感じます。
「幸せな未来をつくる住宅営業」になるために必要な知識は大きく分けて、2つあると思っています。それは、説明する力を扱う「住宅営業のAP」と、お客様の気持ちを受け止める力を扱う「営業のRP」の2つです。住宅営業のAPは、営業力の本に書かれてあるような売り方の知識です。それには、自社の優位性を理解すること、人、物、金などの体系だった知識が含まれます。私が、受講生に最初にアドバイスしたのもこういった知識でした。しかし、売れるようになったものの、契約後の対応が気に入らないと言われキャンセルになる受注トップの営業や、引渡し後に大クレームになって謝罪を繰り返すスーパーセールスマンを見るうちに、「住宅営業のAPだけでは、人は幸せな未来をつくる営業になれない」と思うようになったのです。そこで、お客様の本当の気持ちというテーマでずっと研究を進 めました。その結果、気づいたのは、「営業は、商談をすすめるとき、お客様の気持ちに寄り添わない限り、信頼される人にはなれない」ということです。これを体系的にまとめたのが、住宅営業のRPです。

 

住宅営業のAPとは

住宅営業のAPとは、一言で言って、良さを伝える力です。家のことをよく知っていて、伝え方の知識を豊富に持っている人ほど、住宅営業のAPが高いことになります。この住宅営業のAPは大きく分けて7つのものがあると思っています。

 

住宅営業のAPその1

あなた自身のことをよく知って、うまく伝える

あなた自身を知ってもらうことが第一歩です。よく知らない人には本音は言いにくいものです。あなた自身のことを知ってもらったほうが仲良くなるのは早いのは小学生でもわかることです。ですが、どうしたら知ってもらえるのかということになると、ほとんどの人はよくわからないと答えるでしょう。

私が考えるあなた自身を知ってもらう法則は、

伝えた  情報の深さ = 好意度の  深さ  です。

深く好きになってもらうには、深く伝えることです。あなた自身の情報を伝えると、その質と量に応じて、好意的に思ってもらえます。成功した営業は、自分自身のことを3つの時代に分けて伝えていました。現在と過去と未来の3つです。今はどんな仕事をしているのか。以前は何をしていたのか。そして将来をどう考えているのかを伝えています。自分自身がどんな想いを持った人なのかを分かってもらおうとしているのです。成功した営業は会社のことも深く知ってもらおうとしています。現在はどんな会社で、過去どんなきっかけで始まりどんな業績を残してきたのか、そして未来はどこへ向かおうとしている会社なのかを語っています。あなたは、どんな深さのあなた情報を知らせていますか?それがお客様からあなたへの好意度の深さを決めます。あなたが普通の情報を知らせていたら、普通の好意度しかもらえません。もし、人より深い好意度を得たいなら、人より深く情報を伝えなければならないのは明白でしょう。

 

住宅営業のAPその2

商品の出来る事(性能)を分類して伝える

住宅営業のAPの2番目は、「商品の出来る事(性能)を分類して伝える」です。あなたの事を気に入ってもらえたからといって、自動的に買ってもらえるわけではありません。あなたの良さを伝えて話を聞いてもらえる関係になったら、次は商品の持つ性能を伝えることです。住宅の性能は暮らしやすさの違いを表す指標です。どんな事ができるのか、わかりやすく正しく伝えることが大切です。売れる住宅営業は、性能の伝え方がうまい。逆に、いつまでも売れない住宅営業は、性能の伝え方が下手です。住宅の性能には大きく分けて3つあると思っています。快適性能、安全性能、安心性能の3つです。売れる住宅営業は、それぞれについて深い知識を持ち、対策を語れるようにしています。

 

1  快適性能

日々の居心地の良さにつながる性能です。分類すると、明るさ、温度、湿度、気流、換気、音があります。

 

2  安全性能

日々の暮らしの中で事故を防ぐ性能です。事故の原因を減 らす事ができれば安全性能はよくなります。事故原因をあげておくと、温度の段差、高さの段差、明るさの段差、突起や鋭利な部分、操作が困難な装置などです。防犯に対する対策も安全のためです。ガラスを割られない、玄関の鍵を開けられない、玄関ドアを破壊して侵入されない、などです。

 

3  安心性能

万が一、災害が怒った時の命とライフラインの不安を解消する性能です。災害には二種類のタイプがあります。短期集中型と長期拡散型です。短期集中型の災害で備えておきたいのは、地震、雷、火事、大風、大雨、大雪、洪水、津波、噴火などがあります。長期拡散型の災害は、紫外線劣化、凍結融解、酸化です。

 

住宅営業のAPその3

敷地をよく調べて良さを伝える

これは、家が建っていたり、これから建てる土地の場所についての良さを伝える話です。立地や地形を観察して快適性や利便性を判断します。方位や周辺を調べて日当たりや明 るさをみたり、風通し、水はけ、騒音や静かさをみます。昼と夜の違いや、季節による変化にも気をつけます。鉄道やバスの駅からのアクセス、病院や学校やショッピング施設、公園や図書館など暮らしやすさ確認しておくことで良さを話しやすくなります。

 

住宅営業のAPその4

物の素晴らしさその良さをを伝える

これは、高品質の物をつくるための工夫というお話です。良い物は正確で美しく仕上がります。正確に物をつくるには工夫がいります。それを現したのが4M-1T-1Dです。物づくりの6つの工夫についての知識を持っておくことで物の良さを伝えやすくなります。

 

1M  man

つくる人のことです。勉強して資格を取得したり、訓練して技術を習得した人、計算された教育プログラムを受けている人が物をつくることで高品質な物づくりの第一歩を踏み出せます。

 

2M  machine

良い物づくりに2番目に大切なのは機械や道具です。優れた機械や厳選された道具があることで正確な仕事が出来ます。

 

3M  material

3番目は良い素材です。これは、高いものを使えばいいという事ではありません。必要に応じた適正な材料を、適切な場所に使うことが大切なのです。いい素材を上手く生かすことでいい物づくりにつながっていきます。

 

4M  method

良い物づくりの四番目は作り方です。ビスを留めること一つでも技があります。正しい角度に留めることで力強く固定できます。上手く作る人は、正しい角度、力の強さ、かける時間などたくさんのコツを一度にこなせるのです。

 

1T  time

良い物が出来るからといって、5年も10年もかかって家を作っていたら、今の日本でそんな家を買う人は少ないでしょう。決められた時間の中で仕上げられるかどうかは物づくりの大切な要素です。同じように、一回で出来ること は大切です。何回かやってみて上手く仕上がるのと、一回で出来ることは、物づくりの世界では大人と子供ほどの違いがあるのです。

 

1D  delivery

出来上がった物を目的地にきちんと届けることが6つ目の工夫です。品質を落とさないように運ぶことの工夫です。梱包や積み込み、運搬などの方法で変わります。ここでも、4M-1Tを考えているのです。

 

営業のAPその5

お金のことを深く考えてお得さを伝える

これは、お金の面でどんな得があるのかを伝えるというお話です。「もっと安くしてくれたら、もっと売れるのになあ」と言っている先輩の声をあなたも聞いたことがあるでしょう。彼らは、売れている営業よりも高い値段で住宅を販売しているわけではありません。たいてい、このお金のお得面の伝え方が甘いために、検討から外されたり、相見積もりで他社に負けたりして、次々とお客様を失っているのです。せっかく仲良くなり、性能をうまく伝えて、あなたのところに残ってくれたお客様も、いろんな理由でい なくなってしまいます。売るのがうまい営業は、見積もりに現れないサービスの説明が天才的だったりします。工事期間接待不要、補助金、優遇金利、長期融資、保証内容、保証期間、火災保険、サポート体制、定期診断、コールセンター、アフターサービスなど、ありとあらゆるお得情報を並べてみます。それをどうやって伝えていくのかを知らなければ、幸せな未来をつくる住宅営業への旅は、この時点で終わってしまいます。
セールスの達人たちの集まりに参加したとき、面白いことを言っていました。「お客様へ無料で提供するものこそ丁寧に説明するといいよ。売り手にとって当たり前のことでもお客様からすると驚きに値するようなことはよくあることだから」

 

営業のAPその6

時間に関する良さを伝える

時間を大切にしていることを伝えるのが5番目です。出来るだけ時間を使わない工夫は大切なポイントです。工事の期間を短かくするためにどんな工夫をしているのかを思い出してみるとわかるでしょう。質問を受けた時に早く回答するための仕組みを整えていることも、お客様の時間を大切にしていることにつながります。
打ち合わせから完成までスムーズに流れることも大切なことです。いつ何をするのかをあらかじめ伝えておくことです。途中の工程で間違いが起こらないような検査の仕組みがあると、時間の流れはよりスムーズになるでしょう。

 

営業のAPその7

計画の良さを伝える

計画の良さを伝えることが住宅営業のAPの6番目です。計画とは家の設計のことですが、これにもいろんな知識が要ります。土地の使い方では駐車場の使いやすさ、自動車が出かけてその場に無い時も駐車スペースが美しいこと、玄関までの通りやすいこと、庭を含めてワクワクする楽しさがある、幸せな気分を味わえることなどを考えて上手く計画することです。部屋の取り方では暮らす人の生活をして考えて配置を計画します。窓の取り方によって室内が明るさや風通し、そして窓から外を見た時の景色が変わってきます。全ての事が関係して良い計画になっていることを上手く伝えることです。

 

3-5   住宅営業のRPを高める

では、住宅営業のAPの7原則を学べば、幸せな未来をつくる住宅営業になれるのかというと、そういうわけでもないのです。多くの営業は、契約さえできれば、営業人生がもっとよくなると思っていますが、実際はちがいます。たくさん成果を上げられるようになった優秀営業たちも、信頼されてない人は多いものです。彼らの多くが、もらった注文が解約になったり、お客様からのアンケートが不満となっていたり、社内のスタッフに避けられているのを見た私は、営業のAPだけでは、人は「幸せな未来をつくる住宅営業」にはなれないと思いました。いろんな観察をした結果、幸せな未来をつくる住宅営業になるには、「営業のRP」を高める必要があるという結論に達したのです。

 

住宅営業のRP

住宅営業のRPは、人といかに良好な関係を築けるかを示す「受け止め力」です。今まで、住宅営業のAPが高く、優秀な営業になったのに、全く信頼されていない営業たちにたくさん会ってきました。ある優秀な営業は、毎年受注成績で上位に名前を残すのに、お客様がいなくなることに、 いつもおびえていました。また、ある営業は、社内のスタッフと絶えず口喧嘩をしていました。そういった人たちを見てきて、「人と気持ちよく付き合える力がないと、営業の豊かさは味わえない」と私は考えるようになりました。
住宅営業のRPとは、人に対して、どれだけ素直に受け入れる心があるかで計られます。この営業のRPが高いと、人との関係性によって自分らしさを乱されることはありません。人に対して、感情の整理ができると、損か得かといった考え方が切れて、人と対等に付き合えるようになります。人の一面を知っただけで、感情が簡単に揺り動かされるようではまだまだだということです。今から話す営業のRP4原則を身につけていくことで、人と友好的な関係を持つことができるようになります。 それでは、ひとつずつ見ていきましょう。

 

住宅営業のRPその1 悩みを聞くこと

この「悩みを聞く」ことの大切さは、仕事の時だけでなく、出会う人全般にいえます。相手の悩みを聞くという態度は、友好な関係を築く上でもっとも大切なことでしょう
人の話を素直に聞くのは難しいものです。それは、話すことが上手な友達に比べて、あなたの話を上手に聞いてくれる人が少ないことでもわかります。人の話をじっくり聞くことは、ひとつの技術です。人が今持っている悩みを聞くこと。これが営業のRPの第一番目です。
人の悩みをじっくり聞くためには、自分の中のポジティブな感情を癒さなければなりません。「今は応援しなくていいんだよ、黙って相手を受け止めるだけの器が自分にはある」と感情的に納得する必要があるのです。普通、営業は「黙って話を聞いている」と不安を感じる傾向があります。その不安の多くは、新人時代から培われたセルフイメージと関係しています。厳しい競争社会で営業教育を受けて育った人は、(わたしたちのほとんどがそうでしょうが)特にその影響がはっきりと現れます。「悩みを聞く」というのは、一見すると簡単なようですが、なかなか奥が深いのです。
悩みを聞くことは、勇気を与えることでもあります。普通の人たちは、他の家族が住居にどんな悩みを感じているのかを知りません。自分の悩みは他人と比べると大したことではないと思っていたりします。けれども、悩みを聞いてもらえた人は、「私の悩みは恥ずかしいことではないんだ。これから解決策が見つかるかもしれない」と希望を持つこ とができるようになるのです。ですから、「悩みを聞くことが、勇気を与えることになる」ということも考えてみてください。

 

住宅営業のRPその2 生い立ちを聞くこと

2番目は、生い立ちを聞くことです。これも思ったより難しいものです。あなたのまわりでも、こういう人はいませんか?現在のことは話してくれるけれども、小さい頃の話は聞かせてくれない人です。こういう人は未来のためには、今、頑張らなければならないと考えていたりします。それが、楽しみからやっていれば、何の問題もありませんが、往々にして、焦りや不安から今を犠牲にしていたりするのです。
あなたに夢を語る人の話を聞いた時、その夢を持ったきっかけを聞くことはあるでしょうか?今の家に住んだきっかけや、今の仕事を始めた頃のことを聞いたことはありますか?対人関係では、「古い話を知れば知るほど仲良くなっていく」という法則があります。お客様の昔話を心から楽しんで聞けば、いつのまにか数えきれないほどの仲良しの人に囲まれた自分に気がつくでしょう。

 

住宅営業のEPその3 取引に関する障害を発見すること

営業のRPで一番難しいのは、この3番目かもしれません。それは、取引に関する障害を発見することとです。本来、商談はお客さんと営業のお互いの協力の元に成立するものだと私は考えています。けれども、多くの人は、これまでの経験や周りからの刷り込みのせいで、「商談は相手の本音の探り合いだ」と感じています。また、「頑張らなければ、損をする(例えば、嘘をつかれるとか多額の値引きになる)」と信じています。子供時代や自分の内面の下級意識を癒していくと、次第に自己重要感や自分の中のパワーを信頼できるようになってきます。
この取引に関する障害を発見することは、お客様との話し合いでも、社内での打ち合わせでも一番難しいものでしょう。自分の中の下級意識、恐れをひとつずつ手放して、大きな流れに身を任せることを学ぶことです。お客様をコントロールしようとする考えも、大きい視点から見たらあまり意味のないものです。お客様を信頼して、豊かさの流れに身をゆだねてみるといった感覚が大切なのです。
取引の妨げになりそうな障害は、あらかじめ取り除いておくことが成約までの近道です。障害を発見するためには 順番に質問することなのですが、詳しく話すとそれだけで一冊の本になるので、ここでは簡単に紹介しておきます。

 

1 欲しい理由を確認する

なぜ「住まい」が欲しいのですか?

 

2 必要な理由を確認する

どうして「住まい」が必要だと思われるのですか?

 

3 支払いの方法や予算を確認する

おおよそ◯◯◯◯万円かかります。ご予算の点はいかがですか

 

4 日程について確認する

もしも建築を進めるとしたら、いつ始めたいですか?

いつまでに完成させたいですか?

いつから住みたいですか?

もし予定通りにいかなかったらどうなりますか?

 

5 意思決定をするときに相談する相手を確認する

このような購入の決定をするとき、普段誰と話をしますか?

 

6 権限について、だれかの承認や同意の必要性を確認する

もしこれを進めるとしたら、ほかに誰の同意が必要ですか?

 

7 買わなかったときに起こる影響を確認する

もし「住まい」を買えなかったら、どうなりますか?

 

8 業者やブランドの好みを確認する

もし今すぐ建築会社を選ばないといけないとしたら、どこを選びますか?

 

9 取引をしたい業者について確認する

特別に取引したい業者がありますか?

 

10 注文をするときの手続きについて確認する

注文をするときにはどのような手続きが必要でしょうか?

 

11 個人にとっての影響について確認する

もし「住まい」を買えなかったら、あなた個人にとってはどんな影響がありますか?

 

12 取引をためらう事情について確認する

あなたが当社から買いたくない理由はありますか?

何かカバーしきれていないことはありますか?

 

13 隠れた障害について確認する

「住まい」の購入の妨げとなる障害があるとすれば何ですか?

 

14 コミットメントの確認

仮に実現したい条件をすべて満たしたとしたら、どうなさいますか?

 

 

住宅営業のRPその4 満足する条件を聞くこと

「満足する住まいの条件を聞くこと」が住宅営業のRPの4番目です。満足する住まいの条件を聞くとは、こんな家なら今すぐ買うという条件を聞くということですが、これ にもいろんな知識が要ります。お客様が満足する条件を語る時には不思議な法則があります。条件はだんだんと増えていきます。それは、たくさん話すと、少しずつ思い出すのです。また、安心して話せる人だとわかったら、そこから一気に隠していたことを話し出すのです。たとえば、あまり話をしたがらない奥様がいました。どうして話さないのですかと尋ねると、「笑われるかもしれないと思ったら恥ずかしくて言えない」と言うのです。変わった事だったり、個人的な趣味だったりして、実現するのは難しいかもといって諦めていたりするのです。どんなことでも受け止めますよという態度でいると、全ての条件を聞くことができるようになるのです。

 

3-6   保有客の心理を学ぶ

もう、20年近く前の話になりますが、私の大先生に、「住宅営業で成功するのに何が必要ですか?」という質問をしてみました。すると、その成功した先生は、「初めて話した時に次回の約束を取れなかった人を大切にすることだ」と答えたのです。「初回の面談で次のアポイントを取れなかった人はフォローが難しいのでは?」と聞いたところ、「欲しいと思ってい る人はいつか本気になる。だからそのタイミングになった時に思い出してもらえるようにしておくことが大切なのだ。」と言われたのです。
「幸せな未来をつくる住宅営業」になるために必要な継続学は、保有客に関するものです。それは、保有客が受注の基礎数を決めている鍵だからです。多くの営業は、初回折衝で上手くいかなかった保有客を軽視しがちです。ですが、保有客に忘れられない活動を日常的にしておかないと、幸せな未来をつくる住宅営業になることは不可能です。たとえば、その一つの例が初回面談でじっくり話し込んだケースです。普通、着座して長時間話を聞いてくれたお客さんは、営業のことをずっと覚えてくれていると思っています。しかしいろんな研究の結果、「人に対する良い印象も25日間を過ぎると忘れ始めるものである」ことがわかっているのです。そのため、買う人の心の動き、購入までの行動の変化などを詳しく勉強すると、「何故、人は物を買うのか」「いつ、人は購入を決めるのか」が理解できるようになります。また、信頼される関係を持つためには、喜ばれる情報提供学を学ぶ必要もあります。これは、「相手をどう説得するか」といった類のものではなく、いかに成熟した大人として、尊敬をもって相手にとって必要な情報を提供するかという分野です。

 

3-7   住まいの一生について、あらゆる面をマスターする

住まいの豊富な知識を持つことは、幸せな未来をつくる住宅営業への近道です。「自分の大好きなこと」に関連づけてうまく知識を増やしていくことができれば、売れる住宅営業になるのは、時間の問題です。豊富な知識を持つためには、わかりやすく学べる情報を入手し、実践と経験を通して効率よく身につけて行かなければなりません。細かく説明できないのが残念ですが、ここでは、簡単に10の要素をあげておきましょう。以下の10の知識を深めていくことで、普通の人の何倍も早く成功することができます。

 

3-7-1  良質な宅地の見つけ方を身につけること

3-7-2  エクステリア・インテリアを学びプランニングの天才になること

3-7-3  法務・税務を学び守りを硬くすること

3-7-4  融資・補助金を学びキャッシュフローモデルを作り上げること

3-7-5  保険を学び安心ラインを構築すること

3-7-6  引き継ぎ・発注の達人になること

3-7-7  生産、工事の流れを学び、近隣配慮の達人になること

3-7-8  潤滑な決済・引き渡しの仕組みを作り上げること

3-7-9  アフターメンテナンス、リフォームを学ぶこと

3-7-10  邸のスケジュールとタスクを的確につかむこと

3-7-11  紹介・リピートが出る仕組みを学ぶこと

 

3-8   自分の専門知識・技能を分かち合う

8番目のステップは、「自分の専門知識、技能を分かち合うこと」です。多くの成功した営業に出会ってきて、豊かな人に共通することをひとつ発見しました。それは、「彼らが、分かち合い、伝える人だ」ということです。多くの営業は、自分の営業手法を隠そうとしています。技能を教えれば競争相手が増えることになり、自分の取り分が減ってしまうと感じているのです。豊かな営業にとって、教えることは、先輩から授かった教えに自分らしさの磨きをかけて、次の世代へと繋げていく儀式と考えているのです。よく観察してみると、彼らの営業人生はずっと「分かち合い」 だと気づきます。自分の専門知識を使って社会貢献活動に取り組んだり、技能を後輩たちと惜しみなく分かち合うことで、仲間をいつも応援しています。その結果として、彼らは、彼ら自身の技能に磨きがかかるという利益を受け取っているのです。すばらしい技能が広がることで、幸せなお客様をつくる営業が増えていきます。そして住宅営業の世界がより良くなっていくと考えているのです。

いよいよ最終章第4章では日常的にできる5つのことをお伝えします。

 

 

 

 

第四章 日常的にできる5つのこと

4-1   大好きなことを少しずつ営業に取り入れてみる

もし、あなたが普通の営業担当者なら、今とても疲れていることでしょう。そして、自分の大好きなことなんて、長い間考えたこともないと思います。私が相談にのってきた若手の営業たちの多くは、「毎日忙しすぎて、帰宅が遅く、疲れてぐったりで、あとは寝るだけ」と言っています。まして、「自分の大好きなことをやって営業する」とか「自分らしく成功する」なんて、できるわけないというのです。
私がアドバイスしてきた、「幸せな未来をつくる住宅営業」たちも、以前は普通の営業でした。自分の技能に自信がもてず、忙しく日々の生活に追われていました。それでも、心の中で強く感じていたのは、「このままじゃイヤだ!!」ということでした。そして、自分のやりたいことに真剣に向き合い、いろいろ試したり迷ったりしながら、自分の大好きなことをみつけてきました。その中で、一番大切なのは、今までの営業活動のセオリーを壊すことです。教えられた営業スタイルを守る毎日に流されるのではなく、自分を変えてみようと決めることです。しかし、その想いもなかなか持続することが難しいのが普通でしょう。そこで、最初のステップは、「自分の好きなことを少しずつ営業の 中でやってみる」ことをおすすめします。どんな小さなことでもいいのです。昔、絵を描くのが好きだった人は、提案資料の中に小さく絵を描いてみてもいいでしょう。描いた絵を額に入れてお客様を迎える部屋に飾ってみるのもひとつです。音楽が好きだったら、商談室で流す音楽を変えてみたりするのもいいでしょう。香りが好きなら、アロマテラピーを話題にしたり、店舗の中をコーヒーの香りで満たしたりすることもいいかもしれません。これらのことであなたの営業成果が飛躍的に変わるとは思いませんが、楽しくお客さんを迎える準備をする時間を持ったあなたは、ちょっと前のあなたと違うはずです。忘れていたワクワクした気持ちを思いだし、営業人生に変化を感じ出してきます。ちょっとしたことがきっかけで、未来は大きくひろがるものです。
そして、「自分の大好きなこと」をやっている人には、お客様との人間関係でも恵まれるという幸運も付いてきます。それは、自分らしさを出して、持ち味を見せている人は魅力的だからです。あなたなら、自分の大好きなことをやって生き生きしている営業担当者と、自分の嫌いなことをやって暗く沈んでいる営業担当者の、どちらを大切なお買い物をする時のパートナーとして選びますか?

 

4-2   「幸せな未来をつくる住宅営業」に導いてくれる師 匠や友人を探し、教えを請うこと

これは、もっとも大切なことです。多くの素晴らしい営業に話を聞いて分かったのは、彼らには師匠とする人がいることです。師匠とは、営業人生で迷ったときに、進むべき道のヒントをくれる人です。
なぜ師匠が大切なのか、知らない夜道をひとりぼっちで歩くことを想像してみればよくわかるでしょう。道を知っている人がそばにいてくれて一緒に歩いてくれたらどれほど心強いことでしょう。どこを歩けば安全か、速さは間違いないかなどを判断してくれます。営業の師匠は、営業スタイルを選ぶにあたり、どのスタイルをとれば効果的か、ツールは整っているかなどを見てくれます。そして環境が変わったときに、どう対処すべきなのかの判断もしてくれるのです。実際の営業活動が始まると、当初は予想していなかった出来事が次々と起こります。師匠は同じような体験をたくさんしているので、的確にあなたにいいアドバイスをしてくれることでしょう。彼らは、あなたが進む道を先に行ったことがあるからです。師匠がいなければ、あなたは、自分の気持ちと想像力だけを頼りに暗闇を進むしかありません。師匠はひとりだけとは限りません。また、人だけではなく、本やCDだったりすることもあります。
幸せな未来をつくる住宅営業への道は、今までの常識だけを頼りに進むと危険が多過ぎます。営業で成功するときには、勇気、情熱、アイデア、実践力など、たくさんの力が必要ですが、失敗するときには何もいらないのです。

 

4-3   「幸せな未来をつくる住宅営業」の考え方を学び、習慣を変える

幸せな未来をつくる住宅営業を、周りで探してみましょう。そんな人はいないと思うかもしれません。でも、視野を広げると意外といるものです。隣のチームの人、取引先、昔の友人など違う分野の人に、そんな感じの人がいないか聞いて回ることです。今まで気にしていなかった近くの人が、そうだったりもします。幸せな未来をつくる住宅営業とつきあいはじめたら、彼らの営業スタイルに、意識を向けることが一番大切なのです。周りにどうしても見当たらないという人は、その営業スタイルを実践している人の本を探して読んでみたり、CDを聴くことをおすすめします。そんな人が話している映像を見るのもおすすめです。私は、今言ったすべての方法を試してみました。「幸せな未来をつくる住 宅営業」のエネルギーに触れただけで、営業人生は徐々に変化していくのです。そうしているうちに、いろんな情報へのアンテナが敏感になり、いろいろやチャンスや誘いがあったりしました。そして、勇気を出してセミナーに参加してみました。すると、そこで、自分がずっと話を聞きたかった人に出会えたり、私の人生を大きく変える情報をもらったりしました。

 

4-4   勇気を持って、いろんなことに挑戦していくこと

これも、大切なことです。営業の分野で好かれて成功しているひとたちには、共通するところがあります。それは、勇気を持って行動する力があることです。何か新しいことを始めようとするときには、恐れを感じでしまうものです。彼らは、そこをグッとこらえて飛び込んでいくのです。信頼関係づくりに、ブログで近況報告をすることがよさそうと思っていているのに、始められない人はたくさんいます。建築中の写真を撮りためておいて、引き渡しの時にアルバムに貼っておいてあげたら、お客さんは喜ぶだろうなと思っていても、つい面倒くさくなって、それをしないまま、何年も過ぎるなんてこともよくあります。
以前、ある大好きな先生に言われたことは強烈でした。 その言葉のおかげで、私はずっと、いろんなことをやろうと思いつづけることができたのです。あなたにもその言葉をプレゼントします。

「あるサッカー選手の話だ。彼は試合で一度もシュートをはずしたことがないことを自慢にしていた。けれども彼はサッカーの歴史に名を残すことはなかった。なぜだと思う? それは、彼が試合中に一度もシュートを打たなかったからなんだ。君は、後輩たちの記憶に、『失敗を恐れて一度もシュートを打たなかった情けない男』と覚えられたいのか?それとも、『失敗を恐れず常にゴールを狙い、自らと後輩達の夢を追い続けた誇り高き男』と覚えられたいのかを決めることだ。」

 

4-5   「幸せな未来ををつくる住宅営業」への道を楽しみながら歩くこと

私たちは、日々の忙しい営業生活のリズムのせいで、歩く楽しさを忘れがちです。周りの景色を見たり、風の音を聞いたり、鳥の歌声を聴いたり、歌を唄いながら歩くことが楽しかったころのことを、懐かしく思い出します。残念ながら、近頃は歩くことを楽しむ心の余裕を失ってしまっているようです。
「幸せな未来をつくる住宅営業」の人生というと、普通の人は、今すぐにそうなりたいと急ぎます。でも、幸せな未来をつくる住宅営業たちは、そこへたどり着く過程を楽しみながら進んで行きました。幸せな未来をつくる住宅営業への道は、時には車を降りて、歩いてみながら、営業のあらゆるステージを見直していく道であり、自分の心の声を聞きながら、少しずつ自分の過去、現在、未来を、選び直していく旅でもあります。それには、自分の強み(夢中になれたり楽なやりかた)を発見し、自分らしくないもの(やったほうがいいと思っていることや見栄)を、取り除いていく作業が必要になります。頑張ることをやめ、苦労と努力を忘れ、自然といろんなことを楽しくできるようになったとき、幸せな未来をつくる住宅営業への道を歩きはじめていることに気づくでしょう。その道を歩くことは、とても楽しいことです。一緒に歩く仲間ができたり、たくさんの応援してくれる人に出会えるからです。

終わりに

このコンテンツを、最後まで読んでくださってありがとうございました。このコンテンツは、もともと私のところに相談にくる友人である住宅営業のために書きはじめたものです。以前から、相談内容に応じて話をしていましたが、そろそろ私がいろんな人からいただいた知恵を体系的にまとめてみようと思い立って、このコンテンツを書き始めました。書き続けるうちに、こんな本があったら自分自身も読みたかったなあと思うようになり、いろんなことを伝えたいという気持ちが、どんどん強くなっていきました。
私には夢があります。みんなそれぞれが、自分のできることで、人を楽しませて、喜ばせて、幸せにしている世界を作ること。それは、競争して何かを勝ち取る競争社会で はなく、協力していい音楽を奏でるような社会、協奏社会をつくることです。そこでは、人はみんな大好きなことを仕事にしていて、自由に楽しくお客さんのために働いています。そして、いつもお客さんからありがとうと言われ、たくさんのひとから応援されています。
今後、私の知りえた営業に関する知識を、多くの方にお届けしたいと考えています。これまで話してきた内容を、もっと深く知ってもらえるように、いくつかの方法を使いながら伝えていきたいと思っています。役に立つ内容だと感じていただいたら、ぜひまわりの人にも教えてあげてください。そうやってお互いにいい情報を伝えあって、営業が楽しいと感じる人が増えていったら、私はとてもハッピーです。最後になりましたが、あなたの営業人生がますます素晴らしいものとなり、自由と豊かさがあなたのもとへ届きますように☆☆☆

参考文献

・本田健『幸せな小金持ちへの8つのステップ』アイウエオフィス、2001

・神田昌典『非常識な成功法則 お金と自由をもたらす8つの習慣』フォレスト出版、2002

・ジャック・ワース、ニコラス・E・ルーベン、坂本希久子 訳、神田昌典 監修『売り込まなくても売れる!説得いらずの高確率セールス』フォレスト出版、2002

・佐藤昌弘『凡人が最強営業マンに変わる魔法のセールストーク』日本実業出版社、2003

・小阪裕司『「儲け」を生み出す「悦び」の方程式』PHP研究所、2003

・菊原智明『4年連続No.1が明かす 訪問しないで売れる営業に変わる本』大和出版、2006

・木戸一敏『37ヵ月連続トップ営業が極めた なぜか挨拶だけで売れてしまう営業法』大和出版、2007

・犬飼ターボ『天使は歩いてやってくる』飛鳥新社、2008

 

幸せな未来をつくる住宅営業への8つの道標

ABOUT ME
ふとっしぃ
神戸市で新築戸建て住宅営業を始め、29歳の時に西宮市で阪神淡路大震災の被災。 不景気に苦しんだ経験から、景気に左右されない営業方法を求めて顧客獲得実践会へ入会。 ダイレクトレスポンスマーケティング、高確率セールス法を学び、社内初のホームページを作成し、ブログ、メールマガジンの配信を行いました。 新築住宅167棟を売り上げ営業を離れ、1500人が来場する大工場見学会の運営を行いました。若手営業研修を受け持ち、新人年間退職者ゼロ、成約率第一位を達成できたのは嬉しかった事です。『住まいと環境学習プログラム』の開発に参加。10年間で中学校の住まいの授業を200時限実施し、第6回キャリア教育アワードの最高峰、経済産業大臣賞最優秀賞大賞を受賞に貢献できました。